「ぷっ。真っ赤」
その一言で、充分赤くなっていた顔が、茹でダコのように赤くなる。
そ、そりゃ赤くなるでしょ!
だって…だってだってだって!
ここ、人がいっぱいいるんだよ!?
しかもほとんどクラスの人だし!
ってまたこんな風に抱きつかれたら、余計目立っちゃう…
「棗くん、離して」
「ヤダ」
「んーっ!はーなーしーてー!」
棗くんの腕の中で一生懸命動いてみるが、「そんなことしても無駄だ」と言わんばかりに、抱きしめている腕をキツくしていく。
「離さねーよ」
「離してってば!」
「ヤダつってんだろ」
…動きすぎて疲れた。
やっぱり男の人の力には勝てないのか。
あ、そうだ!
「暑いから離して!」
「しょうがねーな」
背中に回していた手を離すと、ホテルの方をジッと見つめ動かなくなってしまった。

