「あの…さ、優里、なんで怒ってるか分かる?」
…自分で考えればいいでしょ。
「…理衣奈ちゃん?」
優里がいながらほかの女の子と楽しそうにしてたくせに。
今更彼氏面?
この夏合宿に来たせいでどれだけ優里が傷ついたと思ってんの。
「崎本くん最低だね」
「…は?」
「自分が何してたか分かんないわけ?」
「え…俺なんか…」
そこまで言いかけて、何かを思い出したようにホテルの方へ走っていった。
「理衣奈、なんで上村怒ってんの?」
「崎本くんがほかの女の子としゃべってたから」
「へー。…あ」
「私も部屋戻るね。優里が心配だし」
「いや、行くな」
「え?」
「や、たぶん准が向かってるだろうし。そっとしといてやろう」
「…うん、そうだよね」
でも、そしたらすることがなくなっちゃう。
棗くんと2人きりってのもなんか緊張するし…
どうするか考えていると、目の前が暗くなった。

