「ひっ…」


「おい、理衣奈ぁ…お前、何してくれてんだ?あ゛ぁ?」


ど、どうしよう…

棗くんすごい怒ってるけど……


わ、私何かし…ああぁあああぁあ!


そうだ…

さっき棗くんめがけてシャーペン投げたら当たっちゃったんだ!


あ、当てるつもりはなかったのに…


「どう責任取ってもらおうかなー」


不気味な笑みを浮かべる棗くん。

私の頬を冷や汗がつたう。


「理衣奈…」


呼ばれたから見上げただけ。

そう、ほんの一瞬だった。


棗くんの顔がドアップになって、唇に暖かい何かが触れた。


こっ…こ、これって……


キスぅううぅう!?


キスだと分かり、ボボボッと赤くなる私の顔。


棗くんはニヤニヤしている。


そんな私たちを見て、周りの子たちは茶化しだす。


は、は、恥ずかしいっ!!!



ほんの一瞬だった。

唇が触れたのは。


だからかな?


いつもより優しさを感じた。