「…あの…」


「あ?」


「なんでいるのよー!」


そう、私は精一杯の速さで早歩きしているのに、棗くんに追いつかれてしまった。


単に…私が歩くの遅いだけ…?


よし、こうなったら走ろう!


「廊下は走っちゃいけませーん」


走り出そうとした瞬間、棗くんに言われた。


「わ、分かってるもん!」


なんで分かったのよ!
私が走ろうとしたこと!


「全部口に出てるから」


「へ?」


「プッ」


小さく笑うと、スタスタと歩いて行ってしまった。