私が竜宮城についた頃には
火は消されていた
大きな竜宮城は4階が
全焼してしまったらしい
「き、いち!」
息を切らしながら、
ひとりボーっとする喜壱に駆け寄った
「おー、こえり。
さっきまですごかったんだぞ、火。
4階に住む3年の奴らの
火遊びだって…
多分…、タバコ」
「え…」
タバコと聞いて寒気がサーっとした
タバコ?
それがばれたら、
秋の大会は…?
「でも、うん、火遊び
花火らしいぜ、花火
竜宮城に住む俺らの後輩が
その先輩らに花火買いに
昨日パシられたらしいから」
多分、そういうことになったんだろう
喜壱たちの1つ上は良い人もいれば
最悪なのも何人かいて
部活でも問題を起こしていた
無言の会話で
喜壱の怒りを感じる…。
言葉がなくても成り立つ会話
こんな時にでも、
些細な幸せを感じる馬鹿な私。
実際まだこんなに
喜壱が好きなんだ
小さいことでも大切に
幸せをかみしめる
馬鹿な自分と思いつつ
諦めきることはできなくて。
