*雅人・side*





「……幸人はまだ好きなんだって」



彼女のために車内を温めていたのに

彼女の表情は凍てつくこの冬からは解き放たれていなかった



ただシートに座って
足下に視線を落としている

俺とこんなに近くにいても
あいつとの方が近い










あいつのことを考えている