ぐったりしている櫻木先輩の髪を掴んで、私の方へ向けた



「意識、ある?」


強い口調で彼女さんが聞けば、小さく頷いた



「冴川、あんた眼帯取りなさい」




感情のこもってない声で彼女さんは言った




意味が分からなかった




彼女さんは、きっと気付いたのだろう




何をされるよりも、人前で眼帯を外す事が



私の一番の苦痛だってこと





「無理です」




「そーっかー…残念ねぇ…」



そう言ってから、彼女さんは先輩の鼻を摘んだ



地味だな(笑)



いやいや、そんなこと思ったら駄目だ



口も塞がれてるから呼吸出来ないじゃん



先輩は抵抗もしずに、鼻を摘まれている


目に光が入っていない


人形のようだ



「早くしないと大変かもねー?」



小さく溜め息を吐いてから、眼帯を外した




「…見苦しくて、申し訳ないです。……これでも正面、向いてるつもりなんですよ」



意識が朦朧としていたであろう先輩は、私の目を見て、大きく目を開けた


その瞬間に、私の目から涙が流れた



「…もういいですか」



「やっぱり冴川って障害者なんだね。ウケる(笑)…何その目、人間じゃないんじゃないの?よく普通に学校来れるよね、てか宇宙人?(笑)きめぇ(笑)」



全部言われ慣れてる事だったから、何とも思わなかった




先輩は過呼吸ぎみになっていた



口のガムテープだけでも剥がしてあげようとしたら、




顔を背けられた




結構、響いた




「…すみません。」



立ち上がろうとしたら、


「まだだよ」



彼女さんが冷たく言い放った