「ねぇねぇ」


ニコニコしながら私の顔を覗き込んだ



私の顔、見ても平気なのかな





「なんですか?」



目を少し大きく開けてびっくりした様子を作った



「いつもなんで返事しずに頭さげるだけなの?」


「私の声を聞いたら、先輩の耳が腐っちゃうような気がして…」


本気で思っていた事を伝えたら、先輩は困ったように笑って、



「そういうの無いから(笑)…考え過ぎも良くないよ。俺でよければ話聞くし。あ、名前はね…」



「……嫌がらせとか、ドッキリとかそんな感じですか?…私が普通の子とは違うからですか?…デブスだからですか?省かれてるから、どんな精神状態なのか笑う為ですか?」



先輩が優し過ぎて、死ぬ程苦しくなった。
いきなり態度を変えたように見えるけれど、前から疑問だった事を口にしただけで。


「どうしたの?俺は別にそういうつもりじゃなかったんだけど……」



「…私、もう無理なんです。みんなが言ってるように障害者ですから、普通の人と関わったら駄目なんです。先輩みたいに素敵な人とは、余計関わったら駄目なんです。ごめんなさい、すみません」



深く頭を下げて速足で歩き始めれば、それまで不良と地味子という異色すぎるコラボレーションを見ていた人たちが、



ひそひそと話を始めた




そんなのも気にしずに、歩き続けた



櫻木先輩もばいばい先輩も、



馬鹿にしてるだけなんだよ



なんだよ 浮かれやがって



自分消えろよ



なんでここにいるんだよ


なんで産まれてきたんだよ



なんで病気になんてなっちゃったんだろう



普通の子に産まれたかった




涙が流れた



情けない



先輩たちのお遊びに使われてるのにも気付かず



普通の子と同じように生きたら駄目なんだよ



図々しいんだよ 格好いい人と話すなんて



調子こくなよ、自分