ピアスを並べて先輩は暫く眺めていた



私を傷付けないように必死に言葉を選んでいるんだろうか




「ありがとう。毎日付けるよ」



笑いながらそう言っていたけど、目がキラキラしていた



すぐにそれが涙だと気付いたのは、目から大量にこぼれ落ちたからだった




「ごめんね、もう卒業だとか、もっと早く声かけてたらとか、今まで楽しかったとか、もうなんて言っていいか…」




ひたすら指先で涙を拭う先輩にハンカチを差し出せば、小さく笑って受け取った




少しすると何とか収まったみたいで



「ごめんね、なんか情けないね」




へへへ、と弱く笑う先輩が心配になった



今まで色々あったもんね


優しい先輩はきっと自分の中に溜め込んでいたんだろう



人に凄く気を遣って、家でも楽しい事しか言わなかったに違いない





「私がお話聞きますから、無理しないでくださいね」





私の目を見て、先輩は少し笑った