この日は歩く速さを遅くした



先輩は私の速さに合わせてくれるということを分かっていたから




先輩はそれについて何も言わず、ただただ笑って話すだけだった




私の家についた時間は、いつもより30分も遅かった



腕をつかんで「待って」と言えたらどれだけよかっただろうか



寒さもなくなった今、手を繋ぐことも、抱き合うことも無くなっていた



寂しく思ったけど、落ち込む事はなかった



隣にいれる、声が聞こえる、笑顔が見れる



それだけで満足だった



残り少ない日を思うと泣きそうになったけど、必死に自分を励まして泣くのを堪えた



いくら携帯があるといっても、いくら家の場所や住所を知っているとしても、



近くにいるということには勝てなかった