相変わらずの苦笑いで先輩のところに慌てて行けば、笑っていた



まだまだ息は白くなって消えるほど、外は寒かった



先輩の骨張った指が絡められた



指輪のせいで少し違和感がある



「そういえば大分前に、俺がネックレスしてない事に気付いてくれたでしょ」



甘い匂いを撒き散らしながら先輩は喋った
いつも飴かガムを食べている


そういえば そんな事もあったっけ



「クロスのネックレスですよね」



「そうそう。あれさ、元彼女と色々あったから外したんだけどね、それからさ…」



ばいばい先輩が喋り続けているのを気にしつつ、その瞬間から私の目は少し前を歩いている2人に釘付けだった



まばたきさえも、忘れるくらい




櫻木先輩と、3年生の女の子だった



楽しそうに2人で喋っている



お互いに名前を呼び捨てにして、ずっと笑っていた



私なんか、この世界にいないみたいに



冷えた頬に大量の温かい涙が流れてきた



どんどん目から落ちてくる



制服に染みが出来た



次第に過呼吸になっていく私に ばいばい先輩が気付いて、道の端でしゃがみ込んだ



先輩は1度振り向いて、何も見ていないかのように また向き直って喋り始めた