メモには こんな場合にはこうする、といった事がかかれていた。



男の人が苦手とは言っても、病人なら別だ



体温計を先輩の脇にさし、氷枕に氷をぶち込んで先輩の頭の下にひいた。

氷水を用意して、タオルを浸して、絞って先輩の額に乗せた。


冷蔵庫にはスポーツドリンクがあったので、コップに注いで櫻木先輩の隣りの机にクスリと一緒に置いた。


寝相が悪いのかかけ布団を蹴飛ばしたので、どうしたのかと顔を見れば、汗をかいていた。



汗を拭くのを忘れていた。かけ布団を隣りのベッドに移動させて、氷水につけておいたタオルで顔を拭いて、服を触ればビチャビチャだった。


机を見れば、ジャージが積んであった。



「先輩、起きれますか?お着替えしますよー」


耳元でそう言うと、ゆっくりと体を起こした。



「だりぃ…」


頭を押さえながらそう呟き、私を見て驚いていた。



ジャージをベッドまで運び、カーテンを閉めて隣りのイスに座った。


「やってくれたの?」


泣いていたのかという位に掠れた声で問い掛けられて、とても悲しい気持ちになった。



「ごめんなさい。もっと可愛い子ならよかったんですけどね(笑)無理して喋らなくてもいいですよ。先輩汗凄いからジャージに着替えますよ、ちょっと失礼します。」



自分で出来るとでも言うかのように服の裾を握っている



「風邪ヒドくなっちゃいますよ。私、裸とか見ても何にも無いですから。」


苦笑いで小さな子を説得するようにそう言えば、口を突き出して不満そうにした。



「はい、失礼します」


ジャージを脱がせ、タオルで体を拭き始めると、先輩はびっくりしたようで、私の腕を掴んだ。



「まじ照れるから、そういうの」



掠れた声でそう言った先輩は、不良の面影がなかった。



着替えも体拭きも終わり、クスリを飲ませて、タオルを替えて、フワフワの布団で先輩は再び寝た



私は激しい頭痛と吐き気が襲ってきたため、先輩の布団にもたれながら目を閉じた