「…花優愛ちゃん、ちょっと」



先輩が初めて私を『花優愛ちゃん』と呼び、どこかへ歩き始めた



長い廊下を無言で歩いて、ふと窓を見ると広い庭が広がっていた



階段を上がり、また少し進むと、ドアがいくつもあった



そのうちの1つに入ると、黒と白の家具が並んだ綺麗な部屋だった



先輩の部屋だろう




「そこ、座っていいよ」


変わった形の黒いイスに座ると、先輩は向かいの白いイスに座った



どこかにある時計の秒針の音が静かに響いていた


「さっき、電話あったでしょ?」


低くて、穏やかな声だった



「あれ、大丈夫じゃなかったんでしょ」



やっぱり気付いていたのか



凄いなぁ



「関わらないで欲しい事もあるかもしれないけど、俺には話してよ。心配なんだから」



実際 私と先輩はどういう関係なんだろう


お友達なのかな。…先輩はここまで仲良くするのかな


親友なんて有り得ない


恋人なんて本当に無い


ならばなんだろう



「…心配ありがとうございます。何でもないんですよ?暗く見えたなら、申し訳ないです…」



「無理して嘘吐かなくていいよ。目、赤いよ」



「無理してませんよ。…目が赤くなるのは、いつもですから。」