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「ひ、イッ―――すみま、ヒィッ―――ゥ、すみませッ、アアア――ごめっ、ごめんなさいィ……―――」



耳を塞ぎたくなる悲鳴を聞いた。

キュッ、とベットの中で目を閉じて小さく縮こまった。

眉間にシワを寄せて悲鳴が聞こえなくなるまでそのままになった。



「……っは、」



聞こえなくなったとほっとして、小さく息を吐いた。

のそのそと起きあがり、重たい腰を持ち上げた。

カーテンの隙間から白色の光が差し込んだ。


シャッ、とカーテンを開けると爽やかな光が部屋全体を照らした。

外は、朝日が綺麗な青い空。

自動車の走行音や街のガヤガヤとした声。


そして、〝スレイヴ〟の泣き声と〝ディグニティ〟の怒鳴り声―――。



「動けこのスレイヴ共!泣くなわめくな小汚い異物共が!」



静かに眼球を動かして、窓の外、ベランダの下を見つめた。

そこには、みんな同じ黄ばんだTシャツと半ズボンを着用していた。

顔に泥をつけ、汗を流し、木材を運び、ベランダ下はスレイヴで埋め尽くされていた。

虫一匹も通れないほどの窮屈さだ。



「おや、これはこれはヒナギさん、おはようございます」

「…おはようございます、ブローバさん」



下には、ザ・アメリカ人、とでも言うようにぼったりとした脂肪を腹回りにかかえて、気品溢れる制服を着用したディグ系アメリカ人がいた。

苦笑いをして挨拶を交わした後、すぐにカーテンを閉めた。


(……ああもう、また、見てしまった)