「それを止めたのが『神崎一族』の守護者である1人の女だ。」



「………女が?」



「氷月と、"禁忌の十字架"を交わしてね。」



頭の中に愁也様の声が響く。



その度に何かを求めるかのように、背中の刻印が存在を主張する。



「禁忌の十字架とは、世界に手を出さないことを条件に、その女の人にある枷を付けるという契約でね。」



「その枷とは……?」



「待ってください!!」



それは…と説明しようした愁也様を遮って、勢いよく立ち上がった。



そんな私を呆然と見る守護者に気づいていながら、ゆっくりと口を開く。



「……出過ぎた事とは承知の上で言わせていただきますが、それを話すのは時期が早いのではないかと。」



そう言った私の声は、今にも消えそうなか細い声だった。



―――まだ、知られたくないの。



背中に刻まれたこの呪われた証も、あの男と交わしたあの契約も。






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