それから全員が座ったのを確認すると、愁也様はゆっくりと続きを話し出す。
「まだ確定したわけじゃないよ、ただその可能性が高いってだけで。」
「しかしっ…!分からないことが多すぎます!!」
叫ぶように声を張り上げる風香の次の一言に、私は自分の体が凍り付いたのが分かった。
「"禁忌の十字架"とは一体何のことですかっ!?」
賛同する他の守護者達の声に混じって、「そうだな、」と笑いながら言った愁也様から目をそらす。
「もともと、神崎一族が建設された理由は知っているね?」
「世界崩壊を防ぐため…?」
静かに発言する奏也様の声に、小さく肩が動いたのが分かる。
だけど、その事に気づいていないのか、愁也様はこちらを見ることもなく、ふっと口元に笑みを浮かべた。
「そうだ、一つ前の聖戦で世界は一度崩壊しかけた。元々『悪魔』という存在はこの世界にはいるはずのない異端分子だ。」
「それは知っています。」
「では何故、悪魔達は別の世界…『魔界』からこちらの世界へとやってくることが出来ると思う?」
愁也様はそこで一度言葉を切って、じっと私達全員の顔を見る。
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