もう、すぐそこまで近づいてるの…?




風で揺れる長い黒髪を押さえながら、きゅっと祈るように左手を握りしめた。



今までは、ほんの少し小さなケガをしたことはあっても、命に関わるほどの致命傷を負ったことはなかった。



だけど、上級悪魔が出てくるなら……小さな傷程度ではすまないだろう。



「それでも……、」と呟いて、私はそっと瞳を閉じる。



「絶対に守らなければいけない。」



そう言った瞬間に、良くない感じの風が頬を撫でたのが分かった。



それから静かに瞳を開けると、睨むように空を見上げた。



どこまでも続く青は、まるで嵐の前の静けさそのもので。



頭の片隅に残る、千年前のあの日の記憶が蘇る。



背中に残る、忌々しい刻印が疼くのに気づかない振りをしながら、私は何も言わず教室へと足を踏み出した。







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