考え込むように腕を組む瑛太が、ゆっくりと口を開いた。
「"禁忌の十字架"なんて聞いたこともねぇぞ。」
「…………、」
「全てを守ることを引き換えに、自分の体に鎖をつけた、か。」
どういう意味なんだ、と首を傾げる瑛太を私は静かに見つめ続ける。
「……優妃?」
「悪いけど、この事を急いで総帥に伝えてきてくれないかしら。」
「別にいいけど、」
何でだ?と言いたげな表情を浮かべる瑛太に、「これから……」と私は呟いた。
「きっと、上級悪魔が続々増えてくるだろうから。」
「………理由は?」
「確かな証拠はないけど…、とにかく今は急いで本家に戻って。」
「……分かった。」
渋々と頷きながらも、走ってその場を後にする瑛太を横目に、大きな溜め息をこぼす。
.
