「体には傷をつけるなって言われているんだけれど、」
「………、」
「神崎一族の守護者相手に、そんな事できるかしら?」
「どうして、私なの?」
そう呟いた私に相手は、「詳しく理由は聞かされてないんだけど」と答えた。
「禁忌の十字架。」
「………!」
「それは世界が悪魔に支配されそうになったとき、1人の女が我らと結んだ契約の名。」
読み聞かせをするように語り始めた女の話に、私は大きく瞳を見開く。
「その女は、全てを守ることを引き換えに、自分にとある鎖を繋げた。」
ふふ、と楽しげに笑う女に私はぎりっと唇を噛み締めた。
「その話しが……、」
何故?と問いかけようとした声を遮って、女は一層大きな声を出す。
「時は満ちた、役者も揃った!世界は再び闇に染まる!!後はその女を見つけだすだけ……!!」
そう言って嬉しそうに瞳を輝かせた相手に、私は思わず息を呑み込んだ。
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