そこまで考えて、周りに誰もいないか確認した後、静かに結界の詠唱を唱える。



すると、パアァ…と透明な膜が体育館裏を包んだのを見届けて、結界の中にいる彼女待つ。



「さて、と……。」



息を大きく吐きだして、戦闘態勢に入ると、黒い髪が見えた瞬間、私は勢いよく地面を蹴った。



ダンッ、と、鈍い音がして、コンクリートの壁に女の体を押し付ける。



そのまま人差し指で陣を描くと、それは悪魔の体を逃がさないように、強く縛りつけた。



「【神崎一族】の者です。私に何か用事でも?」



「ふふっ…そうね。とっても大事な用事を届けにきたわ。」



ニヤリと口角を吊り上げる相手に、私は目を細めた。



壁に縫いつけられた悪魔の体を、ビリッと電気のようなものが走る。



「あなたの存在を、捕まえに。」



「……どうして?」



「あなたを捕まえてこい、とあの方に命令されたから。」



すべてはあの方の為に、と陶酔した表情を浮かべる相手に、私は眉をしかめる。






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