「あ、たっくみ〜!どこ行ってたの?」
教室に入るなり
梶原くんに飛び付く沢村さん。
「んー?ちょっと散歩!」
沢村さんの頭を撫でて
優しく微笑む梶原くんを横目に私は席についた。
すぐに先生がやってきて
みんな席につきだした。
「号令」
そんな一言から始まり
長い授業が始まった。
遠く離れた梶原くんの席
ハッと我に返ると、いつも
私は梶原くんの背中を見つめていた。
どうも私は最近おかしい。
胸の痛みや欲望が
じわじわと滲み出てきている。
気付けばいつも
梶原くんの背中を追ってる
そんな自分が気持ち悪い
このモヤモヤとした感覚が
私を鈍らせてる
頭の中に音が鳴り
ガンガンと痛む
心臓は握り潰されたように痛む
感覚が全てが私をおかしくさせる。
「…比谷」
遠くで先生の声が聞こえた気がした。

