それから二日後、
真っ黒な服に身を包んだお父さんがいた。
『お父さん…?出かけるの?』
リビングに降りてきた私はそう尋ねた
しかし、お父さんは私を無視して家から出ていった。
私は不思議で仕方なかった。
退院したはずのお母さんの姿がどこにもない。
あれだけ、幼い私に優しく話し掛けて笑ってくれたお父さんの様子がおかしい。
何も知らない。
何も知らされない。
そして、お父さんに…
父親に言われた
『優美、お前は機械だ』
何を言ってるかなんて
全くわからなかった。
“機械”?
リビングの扉に手をついて
ソファーに静かに座り込んでいるお父さんの
寂しい背中を見つめるしかできなかった。

