地味男子

「俺が知らないとでも思った?　今日は弁当作ってきてたよね?　俺にだよね?」


「は?　誰が蒼井なんかにあげるの?」


「柴乃ちゃんだよ。　俺らはもう公認カップルなんだからさっ♪」



　……公認カップル?



　さっきのキス?


　俺の彼女?



「…あんなの嘘だもん!!!　あたしは蒼井なんかと付き合ってない!!　カップルかなんか知らないけどあたしは蒼井のこと嫌いだよ…。」



　もう関わらないで……。



　これ以上あたしの心を荒らさないで…。




「それはできないよ。　もうみんな知ってるんだから。　噂って怖いよね?　たぶんもう学校中に広まってるだろうね?」


「ほっといて!!」


「わぁお…ま、いいけどさ。　俺にもチャンスはいっぱいあるね?」


　１人で何かを言ってる蒼井をおいて走り教室に戻った。


「柴乃ぉ!!　ひどいよ!!　十夜君と付き合ってるなら言ってよ♪」


　ニコニコしながらあたしのところへ走ってきた花は言った。




「付き合ってないんだよ?　蒼井が勝手に言っただけだよ」

「またまたぁ!!　恥ずかしがらなくていいからっ!!」



　…それにあたしが蒼井と付き合ったら許せない人もたくさんいるだろうしね。


　そんななかあたしが蒼井と付き合うわけないじゃない…。