そこにはピッキング不可能な複雑な形の鍵がかけられている。 私はネックレスとしていつもその鍵を身につけている。 この棚の鍵の引き出しは、私の宝物が詰まっている。 「…。」 中には、手紙、小物などが入っている。 私はその中から一通の手紙を取り出して広げる。 真っ黒の封筒に、白い鳥籠の模様が入っている。 背景には神秘的な月…。 便箋も同様のデザインで、微かにあの人の香水の匂いがする。 「『汐音へ―――』」