『葵?周囲に気配ある?』 「……いえ、ありません。」 私は五感が鋭い。 振り返らなくても人がいるかいないかが分かる。 『冴と雛から話は聞い』 「……うん、今から帰るわ。じゃあここ学校だから切るね、お母さん。」 『……了解。』 遊里さんは突然かみ合わなくなった私との会話だけど、どういうことか理解してくれたらしいわね。 向こうから電話を切った。 ……人の気配を感じる。