高校生活にも少し慣れてきた5月。


ついこの間席替えをした。
やっと一番前から解放された。
今は窓側の一番後ろ。
携帯いじり放題!寝放題!
なんといっても前にあきがいる!
もう席替えしなくていいよ?先生!


「ゆり~おはよっ!ね、聞いてよ!」

「どした?」

「藤崎純がね、私にアド聞いてきた!」


藤崎純?誰だそれ?
脳をフル回転したけど、分かんない。


「え、ちょっと待って!
ゆり、藤崎君わかんない系?」

「…残念ながら、わかんない(笑)」

「私の隣の席の男子だよ。
いくら男に興味がないからって
クラスの男子の名前くらい
覚えてよね~!」

「はいはい。」


別に男に興味がないわけじゃないよ?
私だってそれなりに恋してきたし。
そりゃ付き合ったことはないけどさ?
ちゃんと興味はあるんだよ。
ただ、名前覚える気ないというか、
覚えようとしないだけだから。


「で、藤崎君がどうしたの?」

「だから私にアド聞いてきたの!」

「ふーん。で、教えたの?」

「もちろん!藤崎君優しいんだよ。
ってかずっと隠してたけど実は、
私、入学式の日からずっと
藤崎君好きだったんだよね~」

「そうなの?!ってかあきから
恋バナ聞くの初なんだけど!」

「えへへへ、恥ずかしいじゃん?」

「私には何でも話しなさい!
で、告るの?」

「まさか~片思いでいいんだ今は」


そう言ったあきは何だか悲しそうな顔をしていた。
気のせいだろうか?