「……」


「……」


翔くんは無言のまま。

原田との沈黙と翔くんとの沈黙。
それは全然違うものだった。

重い雰囲気の中、翔くんは口をひらいた。



「―――俺達、もう別れよう」


告白して「俺も好き」って言ってくれたのに。


「な、なんで…?
 あたし…別れたくないっ」


「俺さ、お前以外に好きな奴できた。
 てか元々菜美の事なんか好きじゃなかったし?」


「―――っ!」


翔くんはあたしの事なんか好きじゃなかったんだね。
本人の口から直接聞くことになるなんて。


「キスもさせてくれねぇし。
 付き合って半年以内にキスするって賭け、しなきゃよかったわー」


あたしはこの半年間、翔くんの事ずっと好きでした。

あなたは……あたしのこと、どう思って半年過ごしてきたんですか………?








「じゃ、そういうことだから。
 俺達の関係今日で終わりな」

そう言って翔くんは教室から出て行った。


「……ぅっ……ひっく……
 あ、たし…大好きだった、のにっ」

あたしはその場にしゃがみ、泣きじゃくった。