だから俺は最近まで、優は悪魔か鬼だと思っていた
「でもすっごくいい人ですよ!こんな優しい弟さん、自慢ですよ」
「そお?」
優は不思議そうにしたが、俺は感動した
俺が、優しい…?
俺を誉めるには珍しい言葉だと思った
「春菜は俺をよくわかってんな」
「調子のんな」
俺がふざけるとすぐさま突っ込みが飛んできた
春菜はそれをみて笑ってた
優しいと思われたのは、助けた(正しくは助けたと勘違いした)のと、嫌われないように努力した賜物だ
ちょっと自信がついた
それから優は学生時代、春菜と同じテニス部だったから
けっこう話が盛り上がってた
他にも高校の話とか、地元と話とか
女2人で話してるから俺の入る余地はあまりなかった
俺は優の話はどうでも、春菜の話はちゃんと聞いた
そして次第に話題の矛先は俺に向けられた
「ほんっとこいつが人助けなんて信じらんない!そんなとこ見たことないわ」
またいらないこと言ってる
「お前、大袈裟なんだよ」
「そんなことない、本当のことよ」
優は春菜にそう言った
「なんでですか?」

