カベの向こうの女の子



俺は空を見つめて、あくびした



道には春菜と同じ制服の女子高生が、前を歩いていた



隣にロングヘアーが並んできたから、俺は思わず顔をしかめた



「なんだよ」




「あたしもこっちの道なの。わざわざ、後ろ歩くの嫌だったから」



「ふーん…」



俺はすぐにロングヘアーから目を反らして、仕方なく並んで歩いた



確かに後ろをずっと歩かれるのもきまづい



それに並んで歩きたくないとは、いくらなんでも言えない




俺は無言で歩いた



ロングヘアーも無言で歩いてた



だけど、不思議と沈黙はきまづくなかった

















「家、こっちだったけ?」



俺はたまらずに聞いた




さっきまでずっと沈黙のままだったが、どうしても聞きたくなった




だって、こいつ、俺の家まで来たから



ロングヘアーの家は俺の家の近くではないし、この辺を通るわけでもない




この前の須釜の一件の帰りに、家までロングヘアーを送ったから覚えてる




たしかむしろ逆方向だ




ロングヘアーは鼻で笑った



「そんなわけないじゃん」