ロングヘアーは上目で俺を一瞥した



目があうと俺は林道をまた思い出した



性格は違うにしろ、美人なとこや芯がしっかりしているとこは、林道に似てる気がしたから




「初めはあたしだって、断ったの。だけど、びっくりするくらいしつこいんだもの」




「ふーん、まぁ、わかる気がする」



「でしょ?」



ロングヘアーは困ったように笑った


俺もつられて笑う




それからロングヘアーは立ち止まって伸びをした



「でもまさか、あんなことまでするなんてなぁ。しかも勘違いしてるし」



「ちょっと調べればわかることなのにな。俺と付き合ってなんかないこと。あんな必死になるくらい、あんたが好きだったのな」




俺も合わせて立ち止まって、言った



ロングヘアーは小首を傾げて白い息を吐いた



「相手があなただったからじゃない?」



俺は苦笑いして、ホテルから放たれている目映い光に目を細める



さっきまで起きていたことがなかったかのように、静かで平和な夜だ



「俺って、嫌われやすいからな。…あんたにも」



俺は冗談でロングヘアーに、試すような顔を見せた