そういうことだったのか



ホテルから出て、生温かった空気から、冷たい空気に体が包まれる



息を吐くと空気が白くなった




ずいぶん今さらだな



俺が須釜に目をつけられた理由も、林道があの時謝った理由も、やっと今理解できた




そう考えると昔のこととはいえ、無神経な質問をしたと思う





「違うよっ、最低」




あの林道の言葉には、きっと色んな感情が詰まってたんだ




須釜は面食いだって知っていたけど、なるほど、林道なら納得…





俺がぼーっと昔を思いながら歩いていると、隣でロングヘアーが話しかけた




「ごめん、関係ないこと巻き込んじゃって」



「いや、まぁ関係なくはないし、気にすんなよ」




「春菜じゃなかったら、助けにこなかった?」



突然そう聞かれて俺は笑った




「どーかな…。行ったと思う、多分。須釜アブナイやつだし」




「そうね、須釜、手段選ばないし。性格がいやらしいのよ」




そういうロングヘアーは眉間にシワを寄せていた



俺は鼻で笑う



「じゃあ、なんで付き合ってたんだよ」