カベの向こうの女の子



俺は見透かしたような彼女を見つめて、慌てた



頭の良い相手だからこそ、惨めに感じた



しかし事実は事実



弁解はせずに俺は黙る



すると、さっきの口調とは違って、林道は小さな声をだした



俺の様子を窺うような目が、嫌に恥ずかしい



「荒木、1つ上の須釜…先輩、知ってる?」




俺はドキッとした



さっきまでそいつのことを考えていたから、それを見破られたような気がした


「…あの、チャラチャラした奴だろ?」



林道は苦笑いを浮かべた



「うーん、まぁ…」



「そいつがどうしたん?」


林道は俺から視線を反らして目を伏せた



ソフトボール部は夏の日中にがっつり練習していたらしく、肌が見事に小麦色をしている




「あのね、須釜先輩が…、荒木のこと…目つけてるみたいで」



「ああ、なんとなく気づいてたけど」




ちょうどそのあたりからだった



偉そうな青白男の須釜ってやつに、見かけるたびにガンとばされるのは




俺は林道の艶のある肌を眺めながら、林道が本当に彼女ならあいつは益々調子に乗るなと嫌気がさした