カベの向こうの女の子



最近ではそれが噂だけではなく、事実だということがだんだん認知されてきた



実際に彼女のグループとあの青白いチャラ男のグループは仲良くしているし、放課後2人で教室で話しているのを目撃した奴がいるらしい




林道に憧れている男子は、それをきいていじける奴も、一部いた




女子ってのは、男を性格とか相性より、地位や名誉で選んでいる



一番偉いから強いから…、それが魅力に感じるのは仕方のないことかもしれないけど



にしても、相手の男は非常に評判が悪く、金持ちの政治家の息子ってだけで、でかい顔をしているらしい



見た目はとても強そうには見えないし、金でボディーガード雇ってるって噂もある



相手がそんなんだからこそ、男は納得できないのだ



彼女はそんな地位とかで、男を選ぶタイプに見えなかったから、林道に惚れていた野郎は余計がっかりしたろう



その噂(事実?)が林道にとって、珠に傷というやつだった




「ねぇ、どうしたの?」



俺がぼーっと林道の手元を見ていたのに気づいたらしく、林道は笑って聞いてきた



俺は視線を慌てて反らして、うろたえた



「いや、真面目だな…と思って」




「ふふっ、18点は嫌だから」



彼女はシャーペンをもった手元を口に添えて、今度は茶化すような笑顔を見せた


18点というのは、俺がこの前の英語のテストでとった点数だ



「ば…っ、なんで知ってん…!」