さっきまで監禁されていた女とは思えないほど、堂々とした態度だ
須釜は何故だか俺を未だに睨んでる
俺は関係ないっつの
俺がなんであんなふうに親の敵みたいな目でみられなきゃいけないんだ
須釜はあまりに悔しいのか呻きに近い声を出す
「お前、ムカつくんだよぉお!昔からそうじゃねーか」
俺は眉間にシワを寄せた
昔…って、なんだ
須釜、ついに頭いっちまったか
「なんのことだよ?」
「とぼけんじゃねぇ…!林道のことだよ…っ!」
「は…?林道…?」
「わかってんだろぉ…!林道美笑…っ、だよ!!」
「林道美笑…」
呟いてみると、彼女の記憶が鮮やかに蘇ってくる
林道美笑(リンドウミエ)は1回だけクラスが同じで、隣の席になったこともあった
「林道が、なに…?」
林道のことは思い出せたが、林道が俺と須釜とどう関係がある?
俺は全然ピンとこなかった
「俺はなぁ…!お前のせいでっ、林道に、振られたんだよぉおっ!!」
俺はわけがわからなさすぎて思わず苦笑いしてしまった
確か…、1年のとき須釜に告白された1年生がいるって話題になったことがあった
周りはそれが誰か興味津々で探し回っていたけど、俺は特に興味がなかったから、結局それが誰だったのか知ることはなかった
あれは林道だったのか

