カベの向こうの女の子



「荒木ぃ…」



須釜は低い声で俺を睨んだ


しかし、まったく怖くない


人差し指で押せば倒れそうな相手に恐怖は湧かなかった



須釜って時点で、俺は、なめてるが



「よく、わかんないけど、俺、この子とは何も関係ないよ」



ロングヘアーは俺の隣で黙って須釜を見ている



須釜はそれを聞いた途端、せきを切ったように怒鳴りだした



「ふざけんじゃねぇっ!お前と愛が一緒にいるとこ見たんだよ!」



「あー…」



俺は呆れてため息とともに声を漏らした



須釜の目は血走っていて、息を荒くしている



何言っても無駄だな



すると隣でロングヘアーが冷ややかに言った



「何度言ったらわかるの。この人、関係ないから。あたしはただあんたのそういうところが嫌いで振ったの。馬鹿じゃない」



俺はロングヘアーを横目に見た



なるほどなるほど



こいつら付き合ってたの




しかし、今の言葉はなかなかパンチがあるぞ



須釜が惨めすぎる




ロングヘアーもまた、須釜に軽蔑の目を向けていた