カベの向こうの女の子



それから彼らが言っていた隣の部屋のドアノブに手をかける



春菜を監禁してたのは本当のことだったのか



無事だろうか



不安で胸がざわつきながらもドアを開けた




その部屋は寝室だった



ベッドの近くの棚にはテレビが設置されている



ツインベッドの上にはちょこんと女子高生が座っていた




俺は驚いて声が出なかった


そこに座っていたのは、春菜ではなくロングヘアーだったからだ



俺はその場でへたりこみそうなのを我慢して、ロングヘアーの側までふらつきながら歩く



「春菜だと思ってた?」



ロングヘアーは俺の様子を察したのか、そう言ってきた



見ると、片手が縄でベッドにくくりつけられていた



俺は考えるより先になんとなく、きつく結ばれた縄をほどき始める



縄を見つめていたせいで、ロングヘアーの表情はわからなかったが



「ありがとう」



そう小さく言ったのが聞こえた



いつものあの喧嘩腰の強気な物言いではなかった



吐息とともにふぅと出した声だった



俺は黙って縄を外し終えた



それからベッドに腰をおろして、頭を抱えた



「なんで…」



疑問は言葉にせずにはいられなかった…