カベの向こうの女の子




廊下の先に須釜は立っていた



髪の毛は金髪に赤いメッシュが入っている



ネックレスやらピアスやらをじゃらじゃらつけているのと、ひょろりとした体型は相変わらずだった



人を見下したような目もとも変わらない



その目を俺に向けて、須釜は口の端を上げた




「荒木、久しぶりだなぁ」



俺は返事はせずに、目の前まで来て俺より背の高い須釜を睨んだ



胸ぐらを掴もうとしたが、部屋には須釜のほかに2人、男がいた



俺よりちょっと年上くらい


須釜が連れてきたんだろう


しかしそいつらは須釜の頼りない体型とは裏腹に、かなりガタイが良い



俺をリンチするために用意したわけ



須釜は俺を顎でしゃくって2人に言った




「おい、早くやれよ」




本当に変わってないな、と俺は思った



いやらしい性格もなにもかも



軽蔑するよ




俺は2人が俺を抑えるより早く、須釜の顎に一発食らわせてやった




須釜は建物が地震で倒壊するように倒れていく




須釜が倒れていく途中、奥にいた2人が目を見開いてポカンとしている顔が見えた