カベの向こうの女の子




俺は言われた場所に来た




こういうときって、だいたい工場の倉庫とか廃墟とか気味の悪いところに呼び出されるのが、定番だけど…



なぜか高級ホテルの一室だった


ホテルの外観は見るからに上質な感じで、まるで観光旅行に金持ちのカップルが来るような雰囲気だった



空が真っ暗なせいで、ホテルからの明かりがいやに眩しい




でも、それがなんでなのか別に考える気もしない




春菜が怖がって怯えてるかもしれない



俺の助けをまってるんだ



春菜の恐怖で歪んだ表情が頭にこびりつく






俺は急いで言われた通りの部屋の前まで来た



鍵がかかってるかと思いきや扉はすんなりと開いた



入ると、廊下の左側に扉がある



多分それは風呂場だろう


廊下は短く、そのさきには扉など隔たりのない部屋があった


全体的に淡い色した部屋で絨毯はゴミひとつないクリーム色をしている



よくあるホテルの間取りだ


その部屋から人影が現れた



俺は靴は脱がずに絨毯に上がった



怒りで頭がカーッと熱い