カベの向こうの女の子



俺は今世紀の一番速い速度でバイクを走らせた



中学時代の須釜のニヤけた顔が浮かんでは、舌打ちした



怒りが止めどなく溢れ出る



バイクを走らせてる間に怒りは俺の許容範囲をゆうに超えていた



ぜってー、半殺しにしてやる



嘘でも本当でもだ











1年の後半くらいから、廊下をすれ違うたびに睨まれたのは、いくら鈍感だったとしても気づいてた


かなり露骨だったから



だからクラスメイトに目をつけられてると聞かされたときは、対して驚きもしなかった



そのクラスメイトと須釜が仲が良いことは有名で、ときどきそいつと話すと須釜の話題がでた




とはいえ、俺は須釜に興味がなかったし、睨まれる心当たりもないから、ほっておいた



だって、俺、中学時代は金髪でもなかったし、部活の野球も真面目にやっていた



生徒数の多い中学校で、俺より目立つ1年坊はたくさんいたはずだ



目をつけられる理由なんて、"生意気"って、ただそれに尽きる



それはわかっていたけど、なんで俺なんだろうと不思議には思っていた