カベの向こうの女の子


認めたくはないが、顔はやや良いほうだった




肌が白くて細身で中性的なタイプで、常に回りに女子がいた




長髪の茶髪でアクセサリーをチャラチャラ下げて、偉そうに廊下を歩く姿は、俺からしたら滑稽だった



須釜はとにかく来い、何かと言えばそれだけで、最後に場所と「来なかったら女はどうなるかわかってんだろーな」なんて、定番の台詞をためらいもなく吐いた


俺は切れた電話の音を聞きながら、立ち尽くした



頭がごちゃごちゃしてる



手の力を弱めると、だらんと腕が下がる



えー…と、なんだ?



俺は行くべきなのか



はっきりいって半信半疑だった



いや、というより、疑いのほうが強い



嘘ならこれほど馬鹿らしいことはない




でも本当だったら、春菜があいつに監禁されてるってことだよな



しかも今現在



うわっ、それはまずい



胸の奥が不安でいっぱいになってく



それは徐々に形を変えていく




とにかく行かないと




春菜を助けないと




全身がそれでいっぱいになった