カベの向こうの女の子


携帯を開いてみると、液晶画面には知らない番号が表示されていた



俺は多少めんどくさいのもあって出ようか迷った



でも2回もかけてきたんだからと、俺は通話のボタンを押す



「もしもし」



俺がそう言うと携帯からいきなりでかい声が俺の耳につんざくように響いた




俺は思わず耳を押さえて、携帯を離した



耳の奥がじんじんする



声からして俺と年齢の変わらない男みたいだ



俺は離したまま携帯を見つめて様子を見てからまた耳にあてた



「誰だよ、てめぇ。うるせー」



相手もわからない電話の向こうに憤りをぶつける



すると相手も何故だか苛ついた口調で威勢よく言ってきた




『荒木ぃ、いますぐ来い。女、どうなってもいいのか』



「はぁ?」



俺は馬鹿にするようにそう言った



誰かもわからない電話の向こうに何故だか脅されている



全くもって事態が飲み込めない




ただ相手は俺の名前を呼んだから、間違い電話ではなさそうだが