遠回しでなんだかイライラしてくる
俺は答えなかったけど、そいつは目線で俺の気持ちを察したらしい
話し出した
「生徒でさ、見てる奴がいるんだよ」
俺はそれを聞いて、ドキとした
「藤原が無理やり連れていかれたように見えたっていってた」
手から尋常じゃない量の汗が出ているのがわかる
黙っていたら、図星を食らったように思われると思って、俺は慌てて口を開いた
「俺が、誘拐したって言いたいのか」
男はため息を吐くみたいに、笑った
「藤原は信じてるみたいだし、それでいいならいいよ。だけど、いつその生徒がその情報、藤原に言うかわからないし…。それに藤原は嘘が大嫌いだから」
俺は顔がカッと熱くなった
こいつは、見抜いてる
動機が激しくなる
その生徒っていうのは、きっと吉永愛だろう
「そんな情報、見間違い…だろ」
俺は平静を必死に装って、声を出した
「俺は、藤原には傷ついてほしくないから…」
俺はその言葉に怒りを覚えた
さっきから聞いてれば、たかが顧問の教師がでしゃばりすぎだ

