おかしなあなた

「いってきます」

しつけはわりと厳しい家だったからあいさつはどんな日もちゃんとする
心が
晴れの日も
雨の日も

「気をつけなさんね」
おばあちゃんのくたびれた声がそっとわたしの背中を押した。

「寒っ」
気づけば11月も半ば
街はクリスマスへと装いを変えていく
あーもうちょっと待ってくれたらよかったのに
シングルベルなんて笑えない。

ブレザーのポケットに手をつっこんだ
「あ」