「はい、もしもし」
「果歩か?」
通話口から聞こえた声に、思わず口元が緩んでしまう。
「今、大丈夫?」
「うん」
電話の相手は陽生だった。嬉しさで一気に目が覚める。
「今、何してた?」
「今ね、ちょうど布団に入ろうと思ってたところなの」
「そっか、もう寝るところだった?」
「そろそろ、ね。てか、陽生こそ何してるの?」
「あー……俺は、うん」
うん?
そんな応えにキョトンとした私。
「昨日は電話遅くなっちゃってごめんな」
「え?ああ、別にいいよ。私の方も寝ちゃってて出れなかったし……」
そうなんだよね。
昨日眠くなるギリギリまで起きてたんだけど、結局陽生とは話せず仕舞い。
朝も朝で電話くれたのに、優の朝ごはんの支度にバタバタしてやっぱり出るタイミングを逃してしまったんだ。