だけど、



「いや……」



次に向けられた言葉は私の予想とはまったく違うものだった。


お父さんは険しい表情から一変、少し疲れたような顔に変わると少し落ち着きを戻したような声でこう言った。




「もう私はお前たちをどうこうするつもりはない」



え……


キョトンと瞬きを繰り返すと、ふいにお父さんの視線が逸らされたのが分かった。


そしてなぜか何かを諦めたようなため息を吐き出すと




「もうお前達にあれこれ口出しはしないから安心すればいい」




それだけ言って私達から背を向けようとする。


そんな姿に私も陽生も驚愕する。