「あの花、やっぱり親父だったのか……」
そのセリフに私は体を縮ぢこませながら、ハッとさっきの光景を思い出す。
ああそっか、それで納得できた。すでに供えられていたお花は目の前のお父さんが用意したものだったんだ。
「だったら何だ。何か言いたいことでも?」
「いや……、まさか同じタイミングで会うとは思わなかったから」
「意外か?どうせ私がこんな風に行動をとること自体何か企んでるとでも言いたいんだろう」
その通りです。
とは言えず、心の中だけでうんうんと頷いた私。
お父さんの顔をまともに直視できないまま、じっと静かに2人の会話に耳を傾ける。
「相変わらずひねくれてんな、あんたも……」
「それはこっちのセリフだ。……ったく、お前という奴はこんな公衆の面前であんなことして恥かしいとは思わないのか」
う……
スミマセン。
それに関しては何も反論ができないし、弁解する余地も……ない。
私は気まずさのあまりサッと視線を足元に落とし、深いため息を吐いた。



