仁さんが私達にもお辞儀をした後、いそいそと車へと走って行く。
そんなやりとりにドキドキと緊張が押し寄せないわけがない。
うー……
やっぱり心臓に悪い。
この人の存在自体もはや恐怖でしか思えない。
昨日陽生のおじいちゃん、光治さんにあんなこと言われたばかりだけど、やっぱり無理だ。
信用できない。
私のことを認めてくれてるだなんて、どうやっても信じられないもん。
「…親父……」
そんなことを思ってると、突然陽生が低い声をだした。
ビュウッと冷たい風が吹いて、そんな私に追い打ちをかけるように背筋がゾクリと震えた。



