その瞬間今までにないぐらい全身が凍りつくのが分かった。


だって、あのお父さん。


陽生のお父さんが急に目の前にいるんだもん!


しかも、めちゃんこ眉間に皺酔ってるし……


こ、怖い……


ゴクリ、思わず生唾を飲んだ私は咄嗟に陽生の腕を掴み、一歩後ろに下がった。



「いったいどれだけ時間がかかってるんだ。待ちくだひれたぞ!要件が済んだのなら余計な無駄口叩かずにさっさと車に戻って来い!」


「……失礼しました…」



一瞬目を見開いた仁さんが深々と頭を下げる。


そんな光景にますますビク付いてしまう私。


思わず隣の陽生を見ると、私と同じようにひどくしかめた顔をしていた。



「三矢コーポレーションとの会食は何時からなんだ」


「この後8時からになっております」


「だったら早くせんか。こんな所でゆっくり油を売ってる暇はない。すぐに向かう用意をしてこい」


「はい……」