「あなたを産んだこと後悔はしてない」



「えっ…」




驚いて顔を上げた瞬間、とても切ない表情の母と視線が絡み合った。



「正直あなたのこと面倒くさいと思った。うっとおしいしいとも思った。どうして私ばかりこんな思いをしなきゃいけないんだろうって、そればかり思って…本当、最低だったと思う。
けどね、不思議と嫌いにだけはなれなかったの」



母が瞳一杯に涙を浮かべながら、私の頬を包み込む。


今にも泣き出しそうな顔だった。




「愛し方が……分からなかったの」


「えっ?」


「私もね、子供の頃親に虐待されてたから」



その瞬間、母の瞳からポタリと涙がこぼれ出す。




「虐……待?」