「安心してください。旦那様もとても穏やかな表情で坊ちゃん達を見てましたよ」


「えっ……」


「とてもスッキリとした表情をしてましたから」



仁さんの言葉が素直に納得できなかった。


だって、むしろ「険しい」の間違いじゃなくて?


正直めちゃんこ不愉快そうな顔しか思い浮かばないんだけど…


あのお父さんからはとてもじゃないけど穏やかという表現は合わないと思うし……



「信じられないかもしれませんが、本当のことですよ。むしろ三月様のことはずっと気にされてた様子でしたからね」


「それは……悪い意味で、ですよね?」


「まさか!その逆ですよ。ずっと心配されてました。あの日、お屋敷で倒れられたのを見てから旦那様は……」


「村井!それ以上余計なことは言わなくていい!口が過ぎるぞ!」


「えっ……」



その時、突然遮られるように低い声がした。


ビックリし、恐る恐る仁さんの後ろの方に視線を向けると……




「――――!?」



そこには陽生のお父さんがいた。